水難事故:波にさらわれ2人不明 〜 留萌・黄金岬

行方不明の方には気の毒だけれど、秋から冬にかけての日本海の水温を考えると、絶望的な状況と言わざるを得ない。あのへんの波の強さが並ではないということは、現地人の間では常識となっていて、地元の人達は良く「黄金岬は世界3大波濤の一つ」と自慢げに話していたりするぐらいだ(注:ただし、「3大波濤(はとう)」という表現を使うのは留萌の人ぐらいで、一般人にそのまま話しても通じないのが普通)。
夏場は海遊びで賑わう場所であっても、海が荒れている日には不用意に海へは近づかないということは、現地人であれば常識として知っているはずなのだが、旭川は内陸の都会である。そんな都会に住む10代の若者には、危険を察知する能力が欠けていたのであろうか。
「海の怖さを地道に訴えてきた」啓蒙活動が功を奏して、この夏の海浜事故が5年ぶりにゼロになったことを、10/10付の留萌新聞が報道した矢先の出来事である。危険な場所へあえて赴くのであれば、それなりの準備と覚悟が必要なのである。

★留萌海保管内夏の海浜事故5年ぶりゼロ

 留萌海上保安部管内(初山別村から増毛町まで6市町村)の沿岸で今夏(7、8月)、マリンレジャー中の事故が平成15年以来5年ぶりにゼロを記録した。内陸部で実施した啓発活動が功を奏した。今年は、内陸部のコミュニティーFM局五カ所から事故防止啓発メッセージを放送。さらに旭川市深川市水上オートバイ売店、釣具店の来店者にリーフレットを配布し、海の怖さを訴えてきた。

【留萌】十二日午前六時五分ごろ、留萌市大町二の黄金岬海浜公園の岩場で、旭川市内の十代の男女五人が波にさらわれ、三人は自力で陸に上がったが、二人が行方不明だと留萌消防署から留萌署に通報があった。同署と、留萌海保などで捜索したが、強風と高波で難航、日没でいったん打ち切った。十三日早朝から再開する。

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同署などによると、五人は旭川市内の小中学校からの幼なじみ。十二日午前二時に「海を見に行こう」と、長瀬さんの軽乗用車で旭川を出発。同四時半ごろ同公園に到着、海岸から長さ約八メートルの鉄製の桟橋を渡った岩場の上で遊んでいて、沖合から寄せてきた大波にさらわれたという。

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留萌海保によると、同日午前八時の現場海域は西南西の風一五メートル、波の高さ四メートル、旭川地方気象台が強風波浪注意報を出していた。

同公園は留萌市が管理する観光施設。夏場はカニ釣りを楽しむ親子連れや夕日を眺める観光客でにぎわう。桟橋は例年、観光シーズンが終わる十月末ごろ撤去されるが、シーズン中は二十四時間出入り自由になっている。

留萌市の黄金岬海浜公園で十二日、波にさらわれ不明となっている旭川市内の十代の男女二人の捜索は、十三日午前五時四十五分の日の出とともに再開された。前日に引き続き警察、海保、消防などが海陸空から捜索しているが、正午現在二人はまだみつかっていない。

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十三日午前の留萌市は、西南西から十メートル前後のやや強い風が吹いているものの、海上は前日と比べ波の激しさは収まりつつある。留萌署は、捜索範囲を事故現場の黄金岬から北側の海岸線に広げ、陸上から捜している。