国技館二階席の一番上にて

千秋楽を国技館二階席の一番上(自由席)で観戦していた時に、隣に座っていた外国人から話しかけられた。琴欧洲のことを色々と聞かれ(身長、出身国、独身か?果ては、日本人として欧州人が優勝してどう思う?みたいなことまで)たのだが、どうやらその外国人は琴欧洲が英語で優勝インタビューに答えることを期待していたらしい。いやいや英語じゃなく日本語だよ、と教えてあげたら、随分とビックリしていた。最初は信じられない様子だったが、実際にインタビューが始まると諦め顔で納得していた。
琴欧洲に限らず相撲界に入門した外国人力士たちは、ほぼ例外なく日本語が話せる。実はこれってスゴイこと。なぜか?その理由を研究しちゃった人もちゃんといる。相撲部屋は「心技体とも日本人化が求められ,寝ても覚めても日本語漬け。上下関係の中で,敬語も鍛えられる。部屋のおかみさんをはじめ,忍耐強く教えてくれる人々が周囲にいる。理想的な教育環境」ということらしい。


入門間もない曙は,兄弟子から「電話で『もしもし』と言われたら,『カメよ』って答えろ」と教わり,おかみさんに気づかれるまで受話器に「カメよ」と繰り返した。顔色の悪い兄弟子を気遣ったモンゴル出身の朝青龍は「関取,顔悪いっすね」と声をかけ逆に怒られる。
そうは言っても、わざと間違いを教える兄弟子たちもいる。そんな中で失敗いを繰り返しながら、自分自身の力で日本語を身につけることができる「理想的な環境」が相撲部屋には備わっているのかもしれない。