再考:陥落について

先日色々な降格をあれこれと考えてみましたが、その後、再度検討し直したところ、「大関陥落」を例外扱いにするのが、結論としては妥当なようです。
というのは、成績不振で大関に陥落する力士はいません。したがって「大関陥落」といえば「大関から陥落する」という意味にしかならないのです。更に、大関からどの地位に落ちるかまでは言及しない*1便利な表現にもなっています。
大関以外に用いる時には、「○○陥落」は「○○に降格する」という意味で用いるのが普通のようです。ですから、大関陥落ではなく関脇陥落と言ってのけた新聞記者さんにも、それなりの理由があるということです。でも、相撲関係の新聞記事では、圧倒的に「大関陥落」の表現が使われていることは覚えておいて損はないでしょう。

*1:今の制度では関脇に降格することになっていますが、もし二場所連続休場するような大関が出てくれば、変更される可能性もあります

色々な陥落

千代大海大関陥落記事を色々と読みながら、ふと「陥落」という言葉の使い方が気になって仕方がなくなってしまったので、ちょっとだけまとめてみました。「○○陥落」の、○○に入る適切な言葉がある程度決まっていて、その言葉に応じて意味が違ってくる、というのが趣旨です。○○に入る言葉を、とにかく横綱大関から、十両、幕下、最後に番付外まで考えて、その言い方が適切・自然かどうか、その時の意味合いは何かをリスト化してみました。
相撲に使う場合の陥落の意味は、「○○から××に地位が落ちる」ということなのですが、○○もしくは××の片方だけで(通常は)意味が通じる(と思われている)ので、どちらかを省略しているようです。ただし、てきとーに使われている場合も多く、違和感のある表現に遭遇する場合があります。今回は例としてスポーツ新聞を上げさせていただきました。

  • 横綱陥落: あり得ない言い方。横綱横綱でなくなるのは「引退」するときだけ*1であり、他の地位に落ちることはあり得ない。
  • 大関陥落: 今回の千代大海の例。大関から関脇に落ちるという意味で大関陥落という言い方をしています。もう少し突っ込んで考えると、関脇より下になるかもしれないけれど、とりあえず大関より下なのは間違いない、という意味も込められているはずです。
  • 三役陥落: まぁ、あんまり聞かないですね。そもそも三役は大関・関脇・小結のことで、陥落という言葉を使うには、あまりにも意味合いが広すぎるからでしょう。つまり、大関から関脇・小結へ落ちることと、小結から平幕に落ちることを同じように語るのには無理があるのです。
  • 関脇陥落、小結陥落:このへんになってくると、段々と良く分からなくなります。負越して関脇・小結に落ちてくるのか、関脇・小結から平幕に落ちてしまうのか、なかなか区別ができません。少なくとも関脇から小結に落ちるときには使わない言い方でしょう。でも、長く関脇・小結にとどまっていた力士が平幕に落ちるのが確実な場合には、関脇陥落とか小結陥落と言っても大丈夫な気がしますし、あえて三役陥落と言ってもいいかもしれません。最も確実なのは、「関脇から陥落」「関脇に陥落」のように「から」もしくは「に」を入れて区別することです。下記は、大関から関脇に落ちることが決まった千代大海のことを報じる新聞記事の一例です。他の新聞が「大関陥落」という表現を利用している一方で、日刊スポーツでは「関脇陥落」を使っています。千代大海大関であることを知ってさえいれば、意味は通じるのですが何となく変な感じがします。
  • 平幕陥落、前頭陥落:これもあまり言わないでしょう。小結・関脇から一場所で平幕に落ちるのは、ありふれた出来事なので、あえて「陥落」なんて表現は使いません。ただし、長く小結・関脇をつとめた力士や、元大関が平幕に落ちる場合には使われることもあるようです。
  • 十両陥落:このへんは良く使われる言い方です。幕内で長く活躍した力士が十両に落ちる時に使われます。
  • 幕下陥落:ほぼ同上。十両力士が幕下に落ちる時に使われます。
  • 三段目陥落、序二段陥落、序ノ口陥落、番付外陥落・・・省略

というわけなのですが、、、普通は「大関陥落」と「十両/幕下陥落」の2種類をおさえておけばいいのではないでしょうか。前者は「大関から落ちる」という意味ですが、後者は「十両/幕下におちる」という意味であり、同じような言い方でありながら落ちる方向が違っています。階級によって使い方に差が出てきている例ということでしょうか。





補足

もしかすると「大関陥落」だけを特別扱いすれば良いのかもしれない・・・という気になってきました。

*1:かつては「廃業」という言い方もあり、現役を辞めて親方として相撲協会に残る場合を「引退」、親方として残らずに相撲協会も同時に辞めてしまう場合を「廃業」と称して、厳密に使い分けていた。

具体的な目標を持っている白鵬

「次の目標は輪島」その次は「平成の偉大な横綱貴乃花」と優勝インタビューで具体的な目標を上げた白鵬。輪島は14回、貴乃花は22回優勝しているので、その優勝回数を自分も目指そうということであろう。連勝記録についての質問には口を濁してしまったが、もう一場所の全勝優勝ぐらいは考えているに違いない。このように、年間勝ち星の記録を86に更新した白鵬は、数値になっている記録を目標としているように思える。相撲内容を進化させ、万全の取り口で全勝優勝を成し遂げた横綱が、具体的な数値で目標を語ったことに意義を感じる。単に数字を追うのではなく、自分の相撲に磨きをかけることで、目標を達成しようと稽古に励む横綱の姿にこれからも期待したい。

◆平成21年大相撲九州場所:優勝は白鵬(15戦全勝/12回目)

お手本、目指す相撲、そして自分の相撲

把瑠都に対して「お手本になる相撲がありませんからねぇ」と言ってのけたのは元貴ノ浪音羽山親方。きっと貴ノ浪自身もお手本になる相撲・力士が見当たらなくて苦労したに違いない。長身の力士は、体格を生かして上手を取れば何とか相撲が取れて勝ち星を稼ぐことができる。でも、何か物足りなくピリリとしたものが感じられない場合が多い。必勝パターン無しでも勝ててしまうからなのかも知れない。
14日目の把瑠都北勝力を捕まえた後、なぜか頭を付けようともがき、結局は胸を合わせて正面に寄り切って8つ目の白星を上げた。「組んでしまえば実力は三段目」という北勝力を相手にしたあまりにも慎重な取り組みである。花道の奥からは「自分でもどうして頭を付けようとしていたのか分からない」という把瑠都の話がレポートされてきた。お手本のない把瑠都が。何かを目指して本場所の土俵上で試行錯誤していることを伝える生の言葉であろう。
一方、把瑠都に対して小型力士のお手本のような相撲を取ったのが10日目の豪風。低く当たって、ハズに構えて下から上に押して行くという一方的な相撲。相手に廻しを引く余裕を与えない速攻。そもそも腰の位置が普通の力士よりも低いので、把瑠都の長い手も廻しにかからなかった。今場所、前頭筆頭で負越してしまった豪風だが、いつもこういう相撲を目指していれば三役に返り咲いて、定着することだって夢ではない。
お手本があるのに越したことはないが、何を目指すべきかはやはり一人ひとりが自分の特徴に合わせて考え、稽古や本場所での経験を通じて身につけること。そして必勝パターンを作り自分の相撲を確立することで、個性的で強い力士となる。
そういう力士達が繰り広げる本場所の相撲は、本当に楽しみである。

現役にこだわる理由

土俵上で勝負をつける競技にこだわる以上、引退を避けて通ることはできない。でも、立場を変えて相撲にかかわり続ければ、強い力士を育てることはできる。自分だって、一生相撲を続けられて成長し続けることだってできる。
あまりにも現役にこだわり続けるということは、次の自分の姿を思い描くことができないということなのだろうか*1

九州場所千代大海
 10日目の朝青龍戦に敗れ負越し、大関陥落。翌日より休場し、初場所にて再起をかける。大関在位65場所は史上最多(ダントツの1位)。



写真は・・・

引用元は、講談社発行のイブニングに連載中の「オールラウンダー廻(メグル)」(著)遠藤浩輝(イブニング:No.24/2009.12.08)。

*1:力士の不祥事があるたびに、師匠・親方の管理責任が追及されているのも原因かもしれない・・・

Yahoo! pipes

IT系のタグ使うの、何と4年振りでした ⇒昔のエントリ

それはさておき、pipes.yahoo.com なんてところからアクセス来てるの発見。たくさんのRSSを加工するのに便利な代物のようですね。てか、これ自体 2007年頃に現われたツールっぽいですね。とりあえずメモっておきます。
ケーススタディで学ぶYahoo!pipes入門

把瑠都の意外性

他の力士と比べてみると、把瑠都の相撲は意外性の塊りだったりするのですが*1把瑠都の相撲として考えるとあんまり意外性はないかもしれません。つまり、常に把瑠都にとっての正攻法で攻めるのみで、相手の裏をかくような考えた相撲が見られないということ。相撲の取り口が狭いとでも言うんですかね。
まだまだ伸びしろがあるなら今のままでも良いのかもしれないのですが、上位を喰うような相撲を取るためには、もう少し考えた相撲を取ることが必要になるでしょう。
今日・九日目の朝青龍戦なんかも、左をこじ入れられれば、まだ違った結果になったかな、という気がしています。相手に応じてどんな相撲を取るべきか?狙いを定められるようになると、把瑠都は更に強くなると思っています。

九州場所・九日目・結び】
朝青龍−掛け投げ−把瑠都

*1:考えられない体勢から上手を取るし、その上手を取ると強引な攻めが決まっちゃうという意味で