色で見分ける行司の階級

式守与太夫と木村庄之助/幕内格は赤白

相撲は階級の社会です。力士には6つの階級があり、序ノ口・序二段・三段目・幕下・十両・幕内という階級に分かれています。ただし、体重による階級分けを行っていないところが、スポーツとして考えると独特なところかもしれません。
さて、行司さんにも力士と同じく階級があります。序ノ口から幕下・十両・幕内格までは力士と同様ですが、その上になると分類がやや細かくなり、三役格・立行司式守伊之助)・立行司木村庄之助)となっています。力士の場合にも三役(小結、関脇、大関)や横綱がありますので、それに相当していると言えます。
行司さんの格を見分ける最も簡単な方法が「色」にあります。軍配の房(ふさ)や装束の菊綴(きくとじ)*1の色が階級によって厳然と分けられています(下記表参照)。例えば写真の右側は、菊綴の色が総紫ですので、立行司木村庄之助時代の写真であると判断できます。一方左側は、赤白を使っているので幕内格時代の式守与太夫さんというわけです。

階級 房・菊綴の色
立行司木村庄之助 総紫
立行司式守伊之助 紫白
三役格
幕内格 赤白
十両 青白

紫というのは高貴な色とされており、誰でもが使えるわけではありません。行司さんの場合には、立行司式守伊之助木村庄之助にだけ許される色です。力士幟を作る時に紫色を使ってもよいかどうかを確認したのは、このような理由からです(⇒id:omochikun:20070916:p1)。
ちょっとしたことかもしれませんが、こういうことを知っておくだけで、相撲を見る楽しみが少しずつ変わってくるかもしれません。

*1:胸や両膝のあたりに見えるボンボリを潰したようなアレのこと