番狂わせと座布団投げ

ごく稀に起きる番狂わせの時に投げられていた座布団が、とうとう投げられなくなってしまった。それは、番狂わせでもないのに座布団を投げるというやや変わった行為が習慣化したため。
熱戦を褒め称えるなら、大きな拍手をすれば良い。声援を贈れば良い。熱の入った横綱戦には座布団を投げても良いかのような雰囲気が、いつの間にか出来上がってしまった。そんな気がする。
危険行為が常態化すれば制限する動きが出てくるのは当然のこと。「風物詩」が無くなる原因を作ってしまったのは、観客自らの行為にあったことは肝に銘じておくべきである。

 大相撲で横綱に土がつくなど番狂わせ時に見られる「座布団投げ」が、大相撲九州場所では姿を消しそうだ。今や「風物詩」との声もある一方、座布団が観客の上で乱れ飛ぶ行為は「危険」「やめさせるべきだ」という苦情も多いことから、防止策として、4人用升席に投げ込みにくい新型座布団を導入。

 座布団投げの起源は江戸時代にさかのぼる。土俵上のひいきの力士に向かって羽織など個人が特定できるものを投げ入れ、力士本人らが拾って返しに行くことでご祝儀をもらっていた慣習が、形を変えたものと言われている。

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 また、元NHKアナウンサーで東京相撲記者クラブ会友杉山邦博さんは「好勝負に酔いしれたファンが称賛の意味で投げる姿は好感を持たれ、100%否定はしたくない。ひもでつなぐなんて情けないし、協会は自粛を求めていくことが大切」と指摘する。

 その上で、「最初から『投げることが目当て』で来る観客が多い昨今の状況は目に余り、規制を考えるのもやむを得ない。ファンも心得るべきだ」と話している。

※番狂わせ:実力に大きな差があり当然勝つと思われていたものが負けてしまうこと。そのような一番・取り組み。横綱が平幕との対戦で敗れること、など。