五月場所七日目

張り差しも、はたきも、うまい人がやっているのを見ると案外簡単で効き目がありそうに思えるのだが、そう簡単に成功するものではない。ましてや失敗した時には自分の形勢が不利になってしまい、あっさりと負けてしまうことにもなりかねない。

七日目の琴欧洲稀勢の里戦。稀勢の里の右からの張り差しは空振り。やや遅れて代わり気味に立った琴欧洲が左で回しに手をかけ、バランスを崩した稀勢の里をそのまま土俵の外へ送り出し。期待のかかった一戦だっただけに、観客は肩透かし。
張り差しで相手の勢を止めたり、自分の体勢を作ることよりもむしろ、立合い踏み込んで相手に圧力をかけることに専念してもらいたい。

白鵬雅山戦。圧力をかけて叩いて、を2度繰り返して雅山が土俵にはった。圧力のかけ方と、はたくタイミングと、最小限の体の開きがうまい。ある程度の実力差があるからこそこういう相撲が取れる。そういう意味では若い力士のお手本にはならない。叩きたくなっても引かずに押す。真っ直ぐ押してダメなら角度を変えて斜めに押す。あるいは横方向に突く。引くときには、はっきりと体を開く。そういう相撲を繰り返すことで自力がつく。

新入幕力士の琴春日。まだ2勝しか上げていないが意外と(と言っては失礼ですが)いい相撲を取っている。後半戦の巻き返しに期待したい。白馬はまだまだ家賃が高いように見える。今場所は勉強の場所。栃ノ心は前評判通り。勝ち越しはもちろんのこと、二桁にもチャレンジできそう。