五月場所初日

立合いアゴを引いて踏み込めば、張り差しは怖くない。それを実践した稀勢の里。一方の朝青龍、差された腕(かいな)を右で抱えて小手投げに行ったところまでは、先場所千秋楽と同じパターン。ただし、今場所は圧力に耐えかねて腰から崩れてしまった。横綱がこういう相撲を取ってはいけない。

最強横綱が、尻もちをついた。無意識に舌を出し、首をひねる。立ち上がろうとした時、観客の投げた座布団が顔に直撃したが、怒らない。目はうつろなままだ。得意の張り差しで墓穴を堀った。右の張りはあごを引いた稀勢の里にきかず、左腕を差し込まれ、右上手も与えた。苦し紛れの小手投げをうつも、軸にした左足の踏ん張りがきかず、腰から崩れ落ちた。