秋場所千秋楽
終わってみれば、横綱朝青龍の優勝(13勝2敗/14回目)。一時は全勝ペースで勝ち進んでいた琴欧州も、硬さが出て自滅(特に14日目の稀勢の里戦)し、千秋楽の朝青龍との優勝決定戦では経験の差が出た格好となった。実は朝青龍・琴欧州戦は、13日目と千秋楽の優勝決定戦とで、ほとんど同じような攻防が繰り広げられていました。立合い右差しを狙う琴欧州に対して、朝青龍は若干左に変わりながら左で絞って相手の右を殺しながら更に左に回り込み、前に出ながら相手を青房下(正面東側)へ押し込むという攻防です。ここまでは13日目も千秋楽も同じです。13日目は、琴欧州が横綱の寄りをこらえて押し返し、突き放そうとする横綱の隙を突いて左でマワシを取ったものの、横綱の素早い身のこなしと、強引な小手投げ・首捻りに屈してしまいました。ところが千秋楽の優勝決定戦では、青房下に押し込まれたところで、琴欧州が反撃できず、あっさりと土俵を割ってしまいました。琴欧州に残すだけの執念がなかったのか、それとも朝青龍の出足が鋭かったのか。多分、ここ一番にかける集中力という点で、横綱が勝っていたのかと思います。そういう力は修羅場を経験することにより蓄積されていくはずですので、早晩、琴欧州にも備わってくることでしょう。琴欧州に関しては、優勝云々よりもむしろ、新関脇で13勝を上げた力を評価したいと思います。