外国人力士の分類

外国人力士の台頭が目立つ大相撲の世界であるが,一口に外国人力士と言っても,実はいくつかの系列に分けることができる.
一番馴染みが深いのはハワイ出身の巨大力士の系列であろう.具体的には,高見山小錦,曙,武蔵丸(いずれもハワイ出身)のように,とにかく体重だけは平均を大きく超えている力士達の系列である.こういう力士達は,身体の大きさとパワーを武器として,日本人力士を蹴散らしていたのだが,ハワイでのスカウト網が弱体化するにつれて,次第に勢力を落としていった.確かスカウトの中心人物は東関親方(元高見山)の親戚の方だったような記憶がある.
ハワイ勢の次に台頭してきたのが,モンゴルを中心とするアジア系の勢力である.具体的には,旭鷲山旭天鵬朝青龍朝赤龍白鵬春日王といった力士達である.このうち春日王が韓国出身であるが,それ以外の力士達は皆モンゴル出身である.彼らの特徴は,一見すると日本人とほぼ変わらない体格をしているのだが,バランス感覚や足腰の強靭さが日本人に比べて勝っているという点である.これは民族的な差異というよりはむしろ,日本人が普段の生活の中で自然と足腰を鍛えるような運動・仕事をしなくなったことが原因であると推測される.
ところで,最近になって台頭してきたのが東欧系の力士達,例えば,グルジア出身の黒海,ロシア北オセチア出身の露鵬ブルガリア出身の琴欧州などである.彼らは,日本人よりも一回り身体が大きく,それでいて非常にバランスの良い体格をしている.こういう力士達が,さらに稽古に精進し,より相撲に適した身体の作り方や動かし方を会得したとすると,日本人の出る幕がなくなってしまうのではないだろうか?と妙な心配をしてみたりする.
唯一の希望は,琴奨菊豊ノ島のように高卒で角界に入り,20歳そこそこで関取の座を手にした若手力士の出現である.一番実力の伸びる時期を,大学などのアマチュアで過ごすのではなく,実力者がしのぎを削るプロの世界で過ごすことで,より高いレベルに到達する力士が今後出てくるのではないだろうか?と密かに期待していたりします.

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