デジタルのようでデジタルではない

白黒がはっきりとつく相撲の取組み。制度としては「引き分け、痛み分け、預かり」という勝ち負けのはっきりとしない結果も用意されていますが、もう何十年も使われていません。一番一番の結果ははっきりとしているのですが、実は15日間通した結果の評価にあいまいさが残るのが相撲の面白いところだったりします。
白星が8つに黒星が7つ並ぶと「勝ち越し」になり次の場所の番付が上がります。ただし、どれだけ上がるのかを考えようとすると、星の重み云々を言い出す人が必ず出てきます。昇進がからむとなおさら。大関昇進がかかった時に、下位に取りこぼしの多い二桁の勝ち星では心もとない、なんてのはよく聞く話だったりします。
一場所を通じた成績が数字で一見客観的に表されているのに、その価値をどう判断するのか?ということになると、結局はその時々の状況に依存した判断をせざるを得ないというのが相撲の割り切れないところだと思っています。
日々の取り組み結果は白もしくは黒のデジタル情報で、15日間通した成績もまた勝ち越し点数*1というデジタルな数値になるのにもかかわらず、番付の上下を決める時には極めて人間的であいまいな*2判断がなされてしまう。不思議な世界です。

「六本木をTシャツ、短パン姿で歩いてはいけない」「ジャージー姿での外出は×」「勝負が決まった後のダメ押しやガッツポーズは禁止」。これまで物議を醸した力士の行動に善しあしの判断を下す。外国人力士でも分かるように、写真に○×印をつけて掲載する。
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やくみつる委員(漫画家)は私案として「これから入る人は本でいいが、現状を見慣れている人は乱れていること自体に気付かない。罰則を決めてもいい」とルールの徹底のため、違反者に出場停止などを科す、踏み込んだ提案をした。
力士の日常生活の一つ一つに○×をつけること自体は、やる気になれば可能でしょう。何だか幼稚園児や小学生を相手にしているようで、情けなかったりするのですが、それはこの際気にしないことにしておきます。では、一体×印がいくつ溜まると出場停止になるのでしょうか?このへんの判断もまた、極めてあいまいにならざるを得ないと感じています。というよりも、何でもかんでも機械的に判断できるようにはして欲しくないんですけどね。
いけないと言われている「ガッツポーズ」であっても、見ている人が共感するのもあるはず。×印を付けるのは簡単かもしれませんが、相撲界全体の覇気や面白さまで奪ってしまうようでは逆効果です。

*1:「勝ち星数」から「負け星数」を引いた数

*2:もしかすると「それなりに」合理的なのかもしれませんが・・・やっぱり「それなり」なんですよねぇ。